メッセージ
オリンピズムと嘉納治五郎先生の教えを
継承していきたい
なないろ実行委員会 会長/筑波大学 教授 真田 久

日本がオリンピックに積極的に関わるようになったのは、筑波大学の前身である東京高等師範学校・校長の嘉納治五郎(1860~1938年)先生が、1909年に国際オリンピック委員会(IOC)委員に日本人として初めて就任してからです。
嘉納先生は、講道館柔道を創始した人物として有名ですが、柔道のみならず、水泳や長距離走、さらにはテニスやサッカーなど様々なスポーツを当時の学生たちに教える「体育に熱心な教育者」でありました。さらには、留学生も積極的に受け入れて体育やスポーツを教えた先駆者であり、その数(留学生の受け入れ数)は、7000人以上になります。
嘉納先生は、体育やスポーツの力を信じて疑いませんでした。体育やスポーツは、単に、身体を強くするだけでなく、「努力することの喜び、心技体の調和、フェアプレーの精神など、自他ともに道徳的に高めることができる」さらには「その道徳的な価値が、社会生活でも実践されるべきである」と精力的に活動されました。これら嘉納先生の考えや行動は、年齢、性別はもちろん、国境も関係なかったわけであり、100年以上も前に、オリンピズムの精神を実践していたことになります。
オリンピック・パラリンピックは、オリンピズムや共生社会の理念を普及する活動の一つです。オリンピズムとは、オリンピック憲章においてまとめられた理念や哲学の総称で、身体と心、精神をバランス良く発展させ、人の交流を通じて世界を平和にしようとする理念です。そのため、スポーツを文化や教育と融合させる周辺プログラムが充実されなければなりませんし、その役割を筑波大学が担っていかなければならないと考えております。
筑波大学では、嘉納先生の教えを継承し、人々や地域にオリンピズムを浸透し発展させるために、この度、なないろスポーツフェスタを茨城県の協力を得て、開催する運びとなりました。“なないろ”に込めた想いは、本イベントが虹の架け橋となって「オリンピック、パラリンピックで唱えられている『7つの価値』が人々の心や行動に広がり根付いていく」ことです。
なないろスポーツフェスタは、オリンピック・パラリンピックのレガシー事業という位置づけでもあります。オリンピズムと嘉納先生の教えが、人々の心や社会に財産として永遠に受け継がれ、平和社会に貢献していくことを目指しています。より多くの方々にご参加いただき、この活動の輪に加わっていただくことを願ってやみません。
最後になりましたが、ご共催いただく茨城県、ご協賛いただく企業様、ご協力いただく各団体様には、心より御礼を申し上げますとともに、本イベントが成功するようにご尽力を賜りますようお願い申し上げます。